万葉集にある、遣唐使のわが子を見送る母がしたためた歌。
旅人の宿りせむ野に霜降らばわが子はぐくめ天のたづむら(鶴群)
遣唐使の母が、我が子の旅立ちに送った歌だそうです。
遠い地で、寒さの中で野宿をしないといけないかもしれないし、急に霜が降るかもしれない。
「旅の途中に霜が降ったときは、空飛ぶ鶴の群れに、羽で我が子を包んで暖めてほしい(羽ぐくむ=はぐくんでほしい)」と、鶴に対して最愛の一人息子の無事を母親が祈る歌だそうです。
人生は大地と空のように広大。そんな中、親の愛情がとても感じられる暖かい歌。
こういう、はぐくむ、っていうような感性、日本だけの感性なんじゃないかな、きっと。
何事にも大事にしたい感性。